AIが変える日本酒製造・品質管理

AI

「杜氏の勘」と「ディープラーニング」が同じタンクを覗き込み、消費者のスマホには“次の一杯”がパーソナライズされて届く。

AIは今、日本酒づくりの現場からラベル、売り場体験までを静かに塗り替えつつあります。

本稿では酒蔵で進むスマート醸造からブロックチェーン流通、生成AIデザインまで、伝統とテクノロジーの交差点を俯瞰し、“飲み手視点”で掘り下げてみようと思います。

AIは「五感のブラックボックス」を開くかも

岩手・南部美人では、杜氏が米の水分量を目視で判断してきた浸漬工程を画像解析AIで数値化し、若手育成に役立てています。吸水率1%の誤差が味を左右するため、AIが蓄積データから最適時間を提案する仕組みです。

一方、新潟・津南醸造は生成AIで発酵データと気象要素を組み合わせ、仕込みごとのCO₂排出量や酒粕活用まで含めたサステナビリティ指標を可視化。副産物を飼料に転用する研究領域も同AIが示唆しました。

蔵を出たあとのAI:味覚の言語化と体験拡張

① “香り×言葉”のマッチング

紀ノ国屋が導入したKAORIUM for Sakeは、客の「癒やされたい」「フルーティーが好き」など曖昧な気分をベクトル化し、棚の日本酒をスコアリング。AIが“感性の翻訳機”になりつつあります。

草津旅行したとき、ホテル一井に導入されているのを見かけたよ!
100種類以上のお酒からその時の気分で即座に提案してくれたのには未来を感じる…!

② バーで味覚診断

渋谷PARCO地下のKubota Sake Barでは、10種ブラインド試飲の入力をAIが解析し12タイプに分類。「YUMMY SAKE」が選んだ1杯をその場で楽しめる、ゲーム的UXが若年層に刺さっています。

③ 箱で届くパーソナライズ

ECのSakeai Boxは、質問チャットと10万通りの組み合わせから“あなた専用”ミニボトルセットを生成。家飲み需要と相性が良く、贈答にも転用可能なモデルです。

④ 生成AI+味覚科学の新潮流

菊水酒造×味香り戦略研究所は来場者の嗜好診断を生成AIが即時レコメンドする「日本酒AIナビゲーション」を2025年4月にローンチ。来館体験からオンライン販売までの導線を一気通貫で設計しているようです。(以下引用元:https://www.kikusui-sake.com/home/jp/news/5yxx59s8fl2/

  • パーソナライズされた提案体験
     
    来場者は簡単なアンケートに答えるだけで、自身の嗜好にマッチした日本酒をAIが即時に提案します。
  • リアルタイムの学習・最適化
     生成AIは市場の日本酒トレンドや購買データを学習し、日々レコメンド精度を高め続けます。
  • 満足度と購買意欲の向上
     「自分に合った日本酒と出会える」体験により、施設滞在中の満足度向上と購買促進が期待されます。

パッケージ&流通のDX

他にAIx日本酒で面白そうなものはないか調べてみたところ、日本酒を支える領域でも使われていました。

領域代表例メリット
ラベル校正丸信「mikaesu」PDFをAIが10秒で法定表示チェック、コストゼロで誤表示リスク削減
生成AIデザインtaziku「KURA LEGACY」海外向け和柄を抽象化し多言語情報を階層配置
“日本らしさ×モダン”を高速試行
ブロックチェーンJapan Craft Sake Company1本単位で温度・在庫を追跡し品質保証と海外販路分析を両立

(個人的)次に飲みたいAI時代の3本

  • 南部美人 特別純米:AIで磨かれた安定感にフレッシュな酸が際立つ。
  • 津南「郷 -GO-」:生成AIが品質×環境負荷を最適化、透明感のある淡麗辛口。
  • Kubota “YUMMY Match” 限定杯:自分の味覚プロファイルが選ぶ一杯は体験込みで価値倍増かも…!

おわりに:テクノロジーは“杜氏の敵”ではない

調べてみた限りでは、日本酒xAIはコロナ化よりも前から取り組みは行われてきています。
AIは職人の感性を置き換えるのではなく、可視化・継承・拡張する補助線となり、五感とデータを掛け合わせた未来の酒造りは、飲み手にとっても「毎年ブレずに進化する味」をもたらすことと思います。

次の乾杯はぜひ、職人とAIが紡いだストーリーに耳を澄ませながら一口。

sui

平成生まれのごく普通の社会人。
仕事でたまにAIと格闘(共働)しています。
お酒とコーヒーが大好きで、お酒は週3〜4でゆるっと楽しみ、コーヒーは毎日2杯でなんとか人間に戻ってます!
最近は「資格とるぞ」と言いながら、参考書にコーヒーをこぼしたり。
そんなこんなで、酒とコーヒーとAIについて発信してます。

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